「コムギ博士の1分豆知識」Vol.10ではグルジアの小麦の話をご紹介。全国で料理教室・パン教室を展開するホームメイドクッキング公式サイト。

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Vol.10グルジアの小麦の話

今回はグルジアと小麦の話です

パン小麦の起源地に近いグルジア 本当のパンのうまさを初めて知った思いです

今回は、私が今年の8月に学術調査に行ったグルジアの話をします。グルジアは、黒海とカスピ海に挟まれたトランスコーカサス地方にある国で、今年冬季五輪が開かれたロシアのソチのすぐ南にあります。日本の格闘技が盛んで、柔道で五輪金メダルを取った選手もいますし、大相撲の関取も輩出しています。宮崎駿監督のアニメ映画「風の谷のナウシカ」のモデルになった土地だとも言われています。

グルジアは小麦の研究にとって重要な場所で、パン小麦の起源地に近く、品種の多様性に富み、グルジア小麦、マッハ小麦、チモフェービ小麦など、この地方にしかない固有の小麦を持つことで知られていました。私も学生の頃からいつか行ってみたいと思っており、今回ついに夢がかない意気揚々と臨みました。しかし、実際に行ってみると期待した固有の小麦は全く見られず、ほとんどの場所で、親の代まで作っていたが今はもうない、というような話を聞かされました。どうやら近年の市場経済の発達で、生産性が高いトウモロコシやジャガイモに急速に置き換わっているようでした。

憧れの固有の小麦は見られませんでしたが、伝統的に小麦文化の土地だけあって、パンは大変おいしかったです。円盤状のパンが主流でしたが、様々な形のパンが見られました。現地ではパンのことはプリと呼びますが、石焼窯の内壁に生地を貼り付けて焼いたトニズプリを焼き立てで食べたときは、香ばしくかすかな塩気の効いたパンの味に、本当のパンのうまさを初めて知ったと思うほどでした。しかし、調査中に村の農家で、自家製のパンとワインを昼間から御馳走になり、その美味しさについ飲み過ぎ、しばしば仕事が妨げられたのには困りましたが。

グルジア東南部のカヘティ地方のパン「トニズプリ」。
ナンを細長くしたような形をしている。

トニズプリを焼く石窯で焼く様子を再現してもらったもの。

筆者:笹沼恒男
2014.11